国際シンポジウムのご案内<里山 − 文化としての自然>


龍谷大学里山学・地域共生学ORC主催 
国際シンポジウム <里山 − 文化としての自然>


日時:2008年12月13日(土) 13:00〜17:30
場所:龍谷大学 深草学舎 21号館603号教室


<報告>


宮浦富保(里山ORCセンター長、龍谷大学理工学部教授)
 「里山の持続的利用を目指して」
金 錫権(韓国山林科学院林産工学部林産物品質試験チーム長)
 「韓国の林政史を通して見た『森林資源の造成と利用』について」
湯本貴和(総合地球環境学研究所教授)
 「里山の生態系サービスとその持続的利用」
金 才賢(韓国建国大学校生命環境大学環境科学科教授)
 「韓国の森の市民運動の展開と森の文化」
丸山徳次(里山ORC副センター長、龍谷大学文学部教授)
 「文化としての自然とは何か?」


<ディスカッション>
〔総合司会〕遊磨正秀(里山ORC研究スタッフ、龍谷大学理工学部教授)


■当日イベント
「パネル展示」
 時間:12:00〜17:45
 場所:シンポジウム会場前ロビー


〔開催趣旨〕
国際シンポジウム「里山 − 文化としての自然」は、龍谷大学里山学・地域共生学ORC(Open Research Center)が主催して、日韓を中心としたアジアの里山的自然を比較し、里山を維持させてきたそれぞれの地域文化を解明することによって、現代の文明生活を顧み、今後の人間社会と自然との共生の可能性に関するヒントを得ることを目的とします。
 里山学・地域共生学ORCは、2004年以来、「里山をめぐる人間と自然の共生に関する総合研究−生態系保全と環境教育のための里山モデルの構築」をテーマとして、研究を重ねてきました。本国際シンポジウムでは、これまでの成果を公開するとともに、今後のさらなる展開に結びつけるべく、「里山 − 文化としての自然」と題して、韓国より2名、国内より1名のゲストをパネリストとして招聘し、それぞれの地域の文化と里山的自然との相関関係について討議します。
 「里山」とは、水田稲作を中心的生業とする場所であり居住空間である「里」と、肥料・薪炭等の供給地である「山」(隣接森林)とが複合する農業環境・農業景観です。「人の手が入った自然」である里山は、戦後のエネルギー革命と農業改革によって放置され、現在、日本の絶滅危惧種の5割が生息する場所と見られています。人の手が入ることで結果的にむしろ高度の生物多様性を維持してきた、ということは、自然と人為、自然と文化という二項対立図式を自明とする西洋近代の視座からは理解しがたいことであって、里山こそはそうした二項対立図式を乗り越える「文化としての自然」です。類似のことは、韓国をはじめアジアに見られるでしょう。こうした「文化としての自然」の国際比較を通して、生物多様性の維持機構のみならず、持続可能社会へのヒントを、ローカルに徹する視座から獲得することが、グローバルな環境問題解決への一つの大きな貢献になることを、日韓の対話によって明らかにしたいと思います。(丸山徳次)